今度17歳になる。
特に何もない、17歳。
16はバイクの免許が取れる歳で女の子だったら結婚出来る歳。
18は車の免許が取れる歳で、俺ら男が結婚できるようになる歳。
そんなやつらに囲まれたのが17、という年齢。
特に対した変化も求められない年齢。
高校2年生というものも学校に慣れてきて、でも進路を心配するには早い時期。
そんな中途半端な年齢を今日、目の前にいる男が迎えた。
「誕生日、おめでとう」
「・・・・・・随分と嫌そうに人の誕生日を祝うな。」
「僅かですが、俺よりも年上になった海馬君にプレゼントを差し上げたいと思いマース」
「その口調はやめろ。」
機嫌悪そうに海馬はかけている眼鏡を外した。
仕事モードじゃなくなった彼は深い溜息を吐いて深く刻まれた眉間の皺を指で伸ばす。
そんな海馬をソファにもたれながら見つめる。
海馬の目が、続きを促す。
「つっても俺の僅かな収入じゃあ対したものは買えないので、手作り料理でもいかがですか?」
もうすでに用意できてますが、とテーブルの上に乗った料理たちを指さす。
海馬は無言で席につき、上品に食事を始めた。
「いつも作っているだろう。これがプレゼントか?」
「いつもより愛情を込めて作らせていただきましたー。だから、プレゼントになるんだよ。」
城之内論だな、と海馬は浅く笑って食事を続ける。
いつも通りに飯作って、それを海馬が食べる。
そんな誕生日も、良いんじゃないかと思う。
だから、特別なものは何も用意してないし、しない。
ただ、おめでとう、と言葉にして、ご飯を食べて貰うのだ。
そんな、変化のない誕生日も良いんじゃないかな、と言えば海馬はそうだな、と言ってまた食事を再開するのだ。来年の誕生日は少し変化をつけてみよう。
だから、今年はそんな誕生日。
僅かに年上の愛しの君へ、これが俺のプレゼントです。
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