暗闇
夜になれば、闇がくる。


中学の頃、段々暗くなっていく空を恨めしく感じた。
日が沈む前に、いつも共につるむやつらと合流し、夜間でも明るい場所へと移動する。
それが、毎日。
闇がくる前に、日が再び上がるまで。
生きている限り、その暗闇から逃れることは出来ないことはわかっている。
死んであとはどうなるのかわからないが、今のように暗闇に怯えることはないだろう。
以前、本田になぜ暗闇が恐いのかを聞かれた。
わからない、としか言いようがない。
自分でもなぜこんなに闇に恐怖心を抱くようになったのかはわからないのだ。
ただ、小さい頃から闇が恐いのだ。
だから、どんなに悪どいやつらでも一緒にいてくれるなら傍にいた。
悪どいやつらだからこそ、夜に活動してくれるから、都合がよかった。



バイト帰り、街頭の光や、月明かりに頼ってなんとか自分の足で歩いて帰る。
なるべく、頭では楽しいこととか、カードのことを考えて気を紛らわして、早足で家路につく。
でも、今はバイト帰りに黒い車が自分を待っている。
本人が迎えにきてくれることは稀だが、そんなあいつの優しさに知らず知らず笑みを浮かべてしまう。


今日も、闇のなかを黒い車が突き進み、家の中を煌々と照らして自分を待っている彼の元へと城之内を運ぶ。










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