左耳のピアス
城之内君の耳には、穴が開いている。
右に二つ、左に一つ。
ピアスの穴だとはわかるけど、僕は城之内君がピアスをしている所を見たことがない。
「城之内君ピアスしないの?」
「バイトで駄目なとこ多いからしてないんだ。もう塞がってんだよ。」
そう形のいい耳たぶを弄りながら教えてくれた。
城之内君がピアスをしたら、似合うだろうなと思って、勿体ないね、と言ったら。
「まあ、金かけて開けたわけじゃないし。知ってるか、遊戯布団針を炙ってそのまま耳にブスっと…」
「うわー!止めて止めて!ごめんなさいー!」
「左耳につけてた輪っかのピアスなんて喧嘩の時引っ張られると地獄だぞ〜。耳の穴が向こう側が見れる位に…」
「うえ〜ん!ごめんなさいごめんさい城之内くんもう止めて〜!」
「あははははは!」


想像してみる。
赤い宝石がついたピアスを、城之内君の耳に付けてみる。
彼の形のいい耳と、意志の強い眼にきっと似合うだろう。
ほんと、勿体ない。









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