くちびる
海馬の部屋備え付けの風呂から上がれば、仕事を終わらせ煙草を燻らせている海馬と目があった。

「仕事、終わったのか?」

「一段落ついた」

終わりでなくやっと一段落。
一体この男はどこまで仕事をすれば気が済むのか呆れる。
海馬が座っているソファに身体を沈め、高そうなテーブルの上に既に半分開いている酒を頂く。

「その歳で煙草吸って酒飲んで仕事のし過ぎ。早死にするな。」

「長生きしようとは思わん。」

まあ、よぼよぼのお前なんて想像できないしな。
そう言えば海馬は少し顔を顰めて煙草を灰皿に押しつけた。
ちびちびと飲んでいたグラスを取られ、キスをされた。

「何だよ。」

「唇が濡れている。」

酒で濡れた唇を海馬は舐め取るように口づけて腰に手を回してくる。
そういえば触れ合うのは久しぶりだと思い城之内も背中に手を回した。
濃厚なキスは城之内から酸素と意識を持ち去る。
息苦しさに口を開ければさらに深く海馬は口づけてくる。
止めてくれという意味を込めて背中を叩けば腹を直に撫でられ身体が跳ねた。
やっと口が離れて城之内は腕を突っぱねた。

「苦しい。」

海馬は心底おかしそうに笑い額に口づける。
瞼に、鼻に、頬に、唇は掠めるだけで、顎に、首に鎖骨に。
くすぐったいと身をよじれば逃がさないとばかりに手首と腰を掴まれる。
手の甲にキスをされシャツを脱がされた。
素肌が晒され思わず身震いすれば暖めるように海馬が抱きついてきた。

「んー。あったけー・・。お前暫く動くなよ。」

「・・・・・・無理な注文だな。」

「無理でもする。あ、お前もしかして眠い?体温高い。」

「ここ5日ほど徹夜だ。」

「ネトケヨー。」

くすくすと笑っていると、いい加減痺れを切らしたのか海馬は城之内をソファに押し倒した。

「お前は唇が濡れると色気が増すな。我慢がきかん。」

「男に色気を感じるなよ。・・・・・・お前はくてびれてる姿が色っぽいな。」

「貴様こそ男に色気など感じるな。」

声を出して笑いあい、抱き合う。
海馬を誘った唇で、城之内は愛を囁いた。










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