告白編
手を出せと言われて、素直に右手を出したら、そっちやないといわれた。
なんだんだよ、とぼやきながらも、微かな期待を、もしかしたらという希望をもって、左手を差し出す。
ごつくて骨張ったウルフウッドの大きな手が、左手を下から支える。
もうひとつ、ポケットに突っ込んだままだった手を取り出して、左手の薬指に違和感を感じた。
そこには、一つの指輪。

「なんだよ、これ」

「結婚、せえへん?」

いつも、自信満々な男が、真剣な顔をし、掠れた声でプロポーズ。
情けない、とか言おうと思って、からかってやろうと思ったけど、やめた。
だって、自分の手も、情けないほど震えている。
どんな顔をしているの分からないけど、ウルフウッドみたいに情けない顔のようになっていると思う。
声を出そうと思っているのに、上手く声が出てこない。音が出てこない。

「・・・・・うん、」

やっとのことで、出た声は、震えて、掠れて、聞き取りにくいものになっていた。
だけど、聞こえてくれたみたいで、強い力で抱きしめられる。
顔を胸に当てると、いつもより少し早い鼓動が聞き取れた。
ウルフウッドに抱きしめられて、その匂いに、腕に包まれて、涙がでそうな程、嬉しかった。

「幸せに、したる」

「・・・・・・・うん」

声を上げて泣いてしまった。












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