6、ひまわりみたいな笑顔 |
ぱっと、花が咲いた、と思った。
実際、チャドには一護の後ろに花が見えた。
鮮やかな、黄色い花。
夏の風物詩である花が、目の前で笑う少年によく似合う。
どんな暗闇でも、彼が笑うだけで晴れ渡った青空になった。
彼が寂しく笑うと、後ろの花も元気をなくして項垂れた。
不思議だと、思ったけど、可笑しくは思わなかった。
花が見えるんだと、誰にも言ったことはない。
彼の背後にだけ見える、黄色いひまわり。
それは冬の日でも、彼が笑顔をみせれば満開になった。
綺麗に咲いたひまわりを見るたびに、チャドは優しい顔をする。
そんなチャドを見て、一護が心に小さな火をを灯すのは、もう少し先のこと。
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