7、夜空
綺麗な空だ。

チャドは、バイトからの帰り道、空を見上げて思った。
七夕の近いこの季節は、天の川が見えるはずなのに、ここはよく見えない。
目を凝らしてみても、かすかにちらつく星の炎だけが見える。
チャドは、もっと綺麗な星空を知っている。
満点の夜空を、降ってくるような星空を。
だけど、チャドは今見上げている夜空を綺麗だと思った。
きっと、今オレンジ頭の友人も、この空を見上げているかもしれない。
そう思うだけで、今、見上げている夜空はとても綺麗なものになる。
半分に欠けた月も、きっとあの友人は綺麗だなと言うだろう。

今度、チャドが知っている夜空を見せに行こう。

すごく、綺麗だからと、上手い言葉がいえない自分に呆れながらも、きっとオレンジ頭の友人は楽しそうに来てくれる。あの、今にも振り出しそうな満点の星空を見せたら、きっと目を大きくして、凄い凄いと、自分を呼んでくれるから。その情景が、ありありと思い浮かんで、チャドは軽く微笑みながら、家路に着いた。




空を、見に行こう。

きっと君は喜んでくれるから。

あの、自分の好きな夜空を。

一緒に、見に行こう。








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