6、コーヒー
苦いコーヒー。
苦い男。
一護が、今嫌いなもの。


甘いものが好きな自分に、男は砂糖なしのコーヒーを差し出す。
わかっていてやるのだから、むかつく。
一番最初に出された時、あまりにも苦くて、一口でやめた。
次に出された時、子供と馬鹿にされたくなくて、無理して全部呑んだ。
その次も、頑張って呑もうとしたけど、途中で諦めた。
そして、今。
もう飲む気はない。


「飲まないの?」

「苦いから嫌だ。」

「苦いのは嫌い?」

「嫌い。」

「じゃあ、甘いのならいいの?」

「・・・・・甘いのがいい。」


男からの、甘い甘いキス。
苦くないキス。甘い、表情。


「・・・・俺、甘いもん好きなんだ」

「知ってる。」


だから。
甘い男が、好きだ。







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