さようなら。
さようなら。
さようなら。
悲しんでくれますか。
寂しいと思ってくれますか。
泣いてくれますか。
・・・覚えていてくれますか。
当たり前のように、店に足を運んで、お菓子を美味しそうに頬張り、光の名残をこの場に残していく。
あの少年は一体なんだろう。
どうして、こんなにも鮮やかな色彩を残して帰ってしまうのか。彼が座った場所を、名残惜しそうに見詰めてしまうのか。これは何だと、物珍しそうに自分の部屋にあるものを手にとって、目を輝かせて尋ねてくる。少年はどうやって持っていたかと、同じように煙管を持って、彼の光を探す。少年が笑う。曇りもなく、だけど、少しだけ悲しげに。
君を、悲しませるような出来事は嫌いだ。
君を、苦しませるような人間は嫌いだ。
だから、自分がこの世で一番嫌い。
君を悲しませて、苦しませて。そして、最後にはやっぱり、突き放そうとしている。殺してやろうか、こいつ。己の魂魄の刃で、生き疲れたこの身を突き刺して。
・・・・・そうしたら、君は泣くだろうか。
悲しむのだろうか。
苦しむのだろうか。
・・・・・・忘れないでくれるだろうか。
少年が喪服に身を包み、己の死骸抱き上げる様を想像して、笑みが零れる。
ああ、でも。
君の光が弱まらない事だけを、祈る。
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